焙煎すると珈琲豆は劣化を始める
珈琲豆は生鮮品ですと言うと首をかしげる人が多いのですね。しかし、珈琲豆は産物ですから、必ずいたみます。
私は話をわかりやすくするため、同じ農産物であるお米を例にして話すことが多いです。お米の状態での保存は保存状態が悪くなければ、数週間から数ヶ月はそれほど味は落ちないと言えるでしょう。しかし、ご飯を炊いた場合のことを考えてください。お米と同じように置いてあれば1日で味は落ちます。夏場など保存環境が悪ければ、腐敗の可能性すらあります。
珈琲豆も焙煎前の生豆であれば、1年程度、香味の劣化はありません。しかし焙煎してしまうと保存に気をつけても2週間程度で劣化しはじめます。粉砕した粉の状態ではもっと早く1週間〜10日以内に劣化してくると考えたほうがいいと思います。
保存の「敵」
何が、珈琲豆を劣化させるのでしょう。主に4つのものが原因とされます。
第一は、湿気(水)です。湿気の多い梅雨の時期や夏場などは焙煎した珈琲が湿気をすぐに吸収してしまいます。特に粉に挽いた場合は、表面積が大きくなる分、吸収も早くなります。
第二は、空気(酸素)です。これが酸化の原因の最大のものです。以前は、そのため真空パックにして販売することが流行りました。たしかに保存には適していますが、問題は開封した時です。急激に空気に触れるため、一瞬にして酸化が進みます。浦島太郎が玉手箱を開けたのと同じことになります。これも豆より粉の状態のほうが、酸化しやすくなります。
第三は、温度です。高温は珈琲豆の劣化を進めます。冬場は室温でも大丈夫ですが、夏場や暖かい部屋の中では冷暗所(冷蔵庫など)に保存するほうがいいでしょう。
第四は、光(紫外線)です。直射日光などに当てるのは絶対避けてください。南向きの日当たりの良い部屋で保存するのは、珈琲にとってはよくない環境と言えるでしょう。また蛍光灯にも紫外線が含まれます。蛍光灯のサンサンと輝く場所に焙煎豆や粉の状態でおくのも問題です。
以上、4つの劣化の原因(敵)に注意して保存する事が大事です。珈琲を購入したときに湿気、空気、光を中に入れない袋に入れて貰いましょう。では具体的に気をつけることは‥
具体的には
一番大事なのは、新鮮な焙煎豆を買うことです。生豆を買って自分で焙煎するのがベストですが、なかなかそうはいきませんから、焙煎日がわかる豆を買いましょう。当日のものが最高ですが、前日焙煎のものでもいいでしょう。上記しましたが、豆で購入して淹れる直前に挽く方が鮮度もよく、香りも味もよいのは当然です。
焙煎日が2週間以上前なら、買った時点で酸化していると考えたほうがいいでしょう。これでは、買った後でどんなに保存に気をつけてもダメです。スーパーなどで低価格で並んでいるようなものは、賞味期限は長く表示していますが、すでに酸化していると考えるのが普通です。
いつ焙煎したのかわからない豆を買うのは無謀な冒険です。自家焙煎のお店の人に焙煎日を確かめる必要があります。
そして購入してなるべく早く、密封できる保存容器に入れて冷暗所で保管します。先ほど述べたように粉にするより豆の状態のほうが長く鮮度を保てます。珈琲を淹れる直前に必要量を取り出し、また密封保管します。冷凍保存も一つの方法ですが、湿度の高いときはすぐに結露しますから、冷凍状態のままお湯をかけて淹れてください。
保存用の袋も、先ほど述べたように真空パックのものより、中の空気は外に出すが、外の空気は中に入らないバルブのついた物や、アロマブレスパックのようなものが適しています。