漂白フィルターか、無漂白フィルターか
店でも、お客さんから「無漂白のフィルターはないの?」とよく聞かれます。コーヒーを淹れるペーパーフィルターの事です。今日もメールで問い合わせをいただきました。どうも漂白しているものは、環境や人体に悪影響を与えるイメージがあるようです。なぜ、漂白と無漂白があるのでしょう。
昔は、ペーパーフィルターも、漂白するときに塩素系の漂白剤を使っていました。トリハロメタンの発生や人体への影響が懸念され、今では無害(※)な酸素漂白が使われています。酸素漂白は、塩素漂白に比べて漂白力は弱いのですが、環境にも人体にも害がありません。(※ただし化学物質過敏症などの方は避けた方がいいと思います)
別に漂白しなくても、いいのでは?という疑問はたしかにあります。しかし、紙の材料の樹木の繊維質に含まれるリグニンは、臭いや水(湯)色にも影響します。無漂白のフィルターは作成時に多量の水でリグニンなどの不純物を流し去るようにしていますが、完全には除去できていません。実際、無漂白のフィルターにお湯を通すと、透明なお湯が、ほんのわずかに薄い茶色になります。またお湯の臭いも、完全には無臭ではなくなります。10年位前まで、コーヒーを淹れる時は、先にフィルターにお湯を通して捨ててから、コーヒー粉を入れて淹れてくださいと言われていたのは、その影響だと思います。最近の無漂白フィルターには、樹木ではなく、ケナフやバガスを使用したものが出てきました。リグニンが少ないというのも一つの理由だと思います。しかし、ケナフ100%、バガス100%使用ではないものが多く、100%使用にしても、リグニンは含まれます。
今後、技術の発展で無漂白でも、抽出した湯の臭いや色に影響が出なくなる可能性はあると思いますが、それまで当店では、色白美人(漂白)フィルターを使います。