「感と経験」から「データ化」へ その4-1
ドリップで、カップ1杯分淹れるという作業も、今ままでは、珈琲粉をメジャースプーンに少し山盛り1杯分でポットから湯気が出始める約80℃のお湯をゆっくり注ぎ、蒸らしをして、サーバーのメモリを基準に「このくらい」まで注ぐ。という、「感」で伝承されてきましたが、最近は珈琲粉を正確に量りとり、湯温も温度計で計り、湯量も正確に量り、注ぐ速度(時間)も測定するというのが、多くなっています。
しかし、それでも抽出されたコーヒーの濃度はマチマチになることもあるので、濃度計(※)で確認するようです。これを繰り返して、ほぼ同じ濃度でコーヒーを淹れられるように練習するようになっています。
実際、昨年見に行ったSCAJのドリップチャンピオンシップ(本欄昨年9/27付参照)でも、ドリップの腕前だけでなく、2杯を同じように淹れられるかという均一性が大事なポイントになっています。毎回、毎回正確に測定する必要はないと思いますが、ほぼ均一に、いつでも同じようにコーヒーを出せるのも、プロとしては重要だと思います。もちろん、食後やケーキといっしょにコーヒーを楽しむお客さんには、少し濃く淹れる配慮も必要です。
先日、有名なラーメン店の店主が「今日はスープの味が今一なので、店を開けない」と言っていたという話を聞きました。いい加減なものを出さないというのは、もちろんプロとして大事ですが、逆に言えば、いつでも同じ味を出せるのもプロの腕前と言えるのではないでしょうか。そのためには、データ化やデータに基づく調整・訓練も必要だと思います。
(※)光の屈折率や伝導率で濃度を測る機械。最近はコーヒー専用のものも売られている。